<問題12>
渋谷教育学園渋谷中学校 第1回 2023年

 下の9マスに、次の2つの条件にあてはまるように数を入れていきます。

  • 条件① 36の約数をすべて使う。
  • 条件② 縦、横、斜めのどの3つの数をかけても同じ数になる。

 このとき、白いマスに入れる4つの数の積はいくつですか。

※中学校の許可を得て掲載しています。

【解答】

1296

【解説】

魔法陣というパズルがあります. 3×3のマス目に1~9の整数を一つずつ埋めて, 縦, 横,斜めの和を等しくするパズルです. これは次のように解けます.
①縦, 横, 斜めの3つの数をたした値が定まる.
②中央の数字が分かる.
③がんばって残り8マスを埋める.
なるほど. ではこの問題も同じように解けるのではないでしょうか.


A B C
D E F
G H I

表の数字に記号を表のように割り当てます.
36の約数は1,2,3,4,6,9,12,18,36です.
条件をみたすマス目は回転・反転しても条件をみたし, 白いマスに入る4つの積(=B×D×F×H) の値は変わらないことに留意します.

①縦, 横, 斜めの3つの数をかけた値を求める
A×B×C = D×E×F = G×H×I です.
さらに, A×B×C×D×E×F×G×H×I は36の約数を全てかけた数なので,
(A×B×C) × (D×E×F) × (G×H×I)
= A×B×C×D×E×F×G×H×I
= (1×36)×(2×18)×(3×12)×(4×9)×6
= 6×6×6×6×6×6×6×6×6
よって, 各列の積の値は6×6×6 = 216 になります. つまり, 縦, 横, 斜めのどの3つの数をかけても216になります.

②Eの値を求める.
A×E×I = B×E×H = C×E×G = D×E×F = 216
両辺をEで割って, A×I = B×H = C×G = D×F = 216/E
例えばE=1のとき, 36の約数から2つの数を選んで積が216/1 = 216になるような組は(6, 36)(12,18)のみです. このような組は少なくとも4つ必要なので, 不適です.
同様にE=2,3,4,9,12,18,36のときも不適で, E=6のときのみ, 積が216/6 = 36になるような組は(1,36)(2,18)(3,12)(4,9)と4組あります. よって, E=6です.

③残りのマスを埋める.
②での計算より, 1と同じ行・列・ななめになるようなペアは(6, 36) と (12, 18) の2つのみです. A, C, G, I に1が入る場合このようなペアは3つ以上必要なので, B, D, F, H のいずれかが1になります. 盤面を回転させればB,D,F,Hのどれが1なのかは問題ではなくなるので, ここではB=1とします.
B×E×H= 1×6×H = 216 より H=36です. さらに A×B×C = A×C = 216なので, (A, C) = (12, 18) , (18, 12) のどちらかです. どちらなのかは盤面を反転させれば問題ではなくなるので, ここではA=12, C=18とします.


12 1 18
D 6 F
G 36 I

あとは簡単です. C×E×G=18×6×G=216よりG=2, A×E×I=12×6×I=216よりI=3, A×D×G=12×D×2=216 よりD=9, C×F×I=18×F×3=216よりF=4, これにてマス目がすべて埋まりました.


12 1 18
9 6 4
2 36 3

このマス目はすべての条件をみたしています. よって求める答えは B×D×F×H = 1×9×4×36= 1296 です.

<(2)の別解>
E=6が分かるまでは同じです.
B×D×F×H = (B×E×H)/E × (D×E×F)/E = (6×6×6)/6 ×(6×6×6)/6 = 1296
よって答えは1296です. ただし, この解法では9マスに条件をみたすように数を入れられるという仮定を用います.