<問題9>
駒場東邦 2014年

毎月行われるパーティーでは,すべての参加者が他の参加者全員と1回ずつ握手をすることになっています。その握手の回数の合計を考えます。例えば参加者が3人のときは握手の回数の合計は3回,4人のときは6回になります。

(1) 参加者が6人のときは握手の回数は合計何回になりますか。
(2) ある月の握手の回数の合計は308の倍数でした。この月の参加者は少なくとも何人でしたか。
(3) 今月の参加者は先月の参加者の2倍でした。今月,先月の握手の回数の合計をそれぞれa回,b回とすると,aをbで割ったときの余りは12でした。
このとき,今月の参加者数とaの値をそれぞれ求めなさい。

※中学校の許可を得て掲載しています。

<解答>

(1) 15回
(2) 56人
(3) 24人,a=276

<解説>

(2)は,倍数を意識するとよいです。
(3)のように,問題が難しいときは,「数が小さいとき」などのやりやすい場合で「実験」してみると問題を解くのに役立つ手がかりが見えてくることがあります。
簡単に確かめができる場合は,解いたら本当に答えが正しいか確かめをするといいです。

(1) 握手の回数は,6人から2人を選ぶ方法の数と同じです。だから,答えは6C2=6×5÷2=15(回)です。

(2) この月の参加者を①人とします。①としてありうる1番小さい数が答えです。握手をするためには少なくとも2人必要なので,①は2以上です。この月の握手の回数の合計は308の倍数なので,C2=①×(①-1)÷2=(308の倍数)です。だから,①×(①-1)は616の倍数です。
616を素因数分解する(素数の積として表すことです)と2×2×2×7×11なので,①と①-1のどちらかは11の倍数で,①と①-1のどちらかは7の倍数です。
①と①-1のどちらかは11の倍数なので,①は11で割って0か1余る数です。このことと①が2以上であることを考えると,①としてありうる数は小さい順に11,12,22,23,33,34,44,45…です。
また,①と①-1のどちらかは7の倍数なので,①は7で割って0か1余る数です。このことも考えると,①としてありうる数は小さい順に22,56,77,78…です。
これらの数が①のときに①×(①-1)が616の倍数かどうかを順番に調べていくと,①が56のときに初めて①×(①-1)が616の倍数になります。だから答えは56人です。

(3) 先月の参加者が2人のとき,先月の握手の回数の合計は1回なので,b=1です。このとき,今月の参加者は4人なので,今月の握手の回数の合計は6回で,a=6です。つまり,先月の参加者が2人のとき,aをbで割った商は6,余りは0です。
同じように考えると,
先月の参加者が3人のとき,a=15,b=3なので,aをbで割った商は5,余りは0です。
先月の参加者が4人のとき,a=28,b=6なので,aをbで割った商は4,余りは4です。
先月の参加者が5人のとき,a=45,b=10なので,aをbで割った商は4,余りは5です。
先月の参加者が6人のとき,a=66,b=15なので,aをbで割った商は4,余りは6です。
ここまでの結果を表にまとめると,下のようになります。

先月の参加者
aをbでわった商
aをbでわった余り
2人
6
0
3人
5
0
4人
4
4
5人
4
5
6人
4
6

だから,「先月の参加者が4人以上のとき,aをbで割った商は4,余りは先月の参加者の数になる」…(☆)と予想できます。この予想が正しいか,確かめます。

先月の参加者を1人とすると,今月の参加者は2人になります。握手をするためには少なくとも2人必要なので,1は2以上です。このとき,a=2C22×(2-1)÷2=1×(2-1),b=1C21×(1-1)÷2です。
このとき,a-b×4
1×(2-1)-1×(1-1)÷2×4
1×(2-1)-1×(1-1)×2
1×(2-1)-1×(2-2)
1×{(2-1)-(2-2)}
1×1
1 …①
です。また,1が4以上のとき,1-1は3以上なので,(1-1)÷2は1より大きいです。だから,b=1×(1-1)÷2は1より大きいです。
このことと①から,aをbで割ると,商は4,余りは1になります。先月の参加者の人数は1人なので,(☆)は正しいです。

先月の参加者が3人以下のとき,aをbで割った余りが12になることはありません。
先月の参加者が4人以上のとき,(☆)から先月の参加者は12人です。だから,今月の参加者は24人です。
このときaは24C2=24×23÷2=276,bは12C2=12×11÷2=66なので,aをbで割った余りは276を66で割った余りで,これは確かに12です。