<問題10>
広尾学園 2021年第1回

nは整数であり,《n》はnに使われている位の数を並べ替えてできるすべての数の和を表すものとします。例えば,
  《12》=12+21=33
  《11》=11
  《211》=112+121+211=444
となります。ただし,nのすべての位には0を含まないものとします。次の問いに答えなさい。

(1) 《123》を求めなさい。
(2) 《n》=777となる整数nは何個あるか求めなさい。
(3) 《n》=1332となる整数nは何個あるか求めなさい。

※中学校の許可を得て掲載しています。

<解答>

(1) 1332
(2) 10個
(3) 15個

<解説>

(1) 答えは,123+132+213+231+312+321=1332です。

※そのまま計算する以外に,このようにしても計算できます。
123+132+213+231+312+321の百の位だけを足すと,1×2+2×2+3×2=(1+2+3)×2=12です。同じように,123+132+213+231+312+321の十の位だけを足すと12で,一の位だけを足しても12です。だから,123+132+213+231+312+321の答えは

12×100+12×10+12
=12×(100+10+1)
=12×111
=1332 です。

(2) nが2けたのとき,nに使われている位の数を並べかえてできる数は2個以下です。だから,《n》は2個以下の2けたの数を足した和なので,99+99=198以下です。実際には《n》=777なので,これはおかしいです。だから,nは2けたではありません。同じように,nは1けたでもありません。
nが4けたのとき,《n》は1個以上の4けたの数の和なので,1000以上です。実際には《n》=777なので,これはおかしいです。だから,nは4けたではありません。同じように,nは5けた以上でもありません。
だから,nは3けたです。nの各けたの数字が同じかちがうかによって場合分けして考えます。

<1> 111のように,nのすべてのけたの数字が同じ場合
nに使われている位の数を並べかえてできる数はnしかないので,《n》=nです。だから《n》=777なので,n=777です。このnは確かに3けたで,すべてのけたの数字が同じです。だからこのとき,nとしてありうる数は1個あります。

<2> 121や221のように,nのけたの数字のうち1つだけがちがう場合
nのけたの数字の順番が入れかわっていてもnに使われている位の数を並べかえてできる数は変わらないので,《n》の値は変わりません。だから,nのけたのうち一の位だけがちがうとしてよいです。(けたの数字の順番を入れかえた数は最後に考えます。)
n=AABとします。ただし,A,Bは異なる1けたの整数で,両方とも0ではありません(nのどの位にも0は入っていないからです)。このとき,《n》=AAB+ABA+BAAです。AAB+ABA+BAAの百の位だけを足すと,A×2+Bです。同じように,AAB+ABA+BAAの十の位だけを足すとA×2+Bで,一の位だけを足してもA×2+Bです。だから,AAB+ABA+BAAの答えは(A×2+B)×100+(A×2+B)×10+A×2+B=(A×2+B)×(100+10+1)=(A×2+B)×111です。だから,《n》=(A×2+B)×111です。このことと《n》=777から,(A×2+B)×111=777なので,A×2+B=7です。
このこととA,Bが異なる1けたの整数で,両方とも0ではないことから,AとBの組としてありうるのはA=1,B=5とA=2,B=3とA=3,B=1です。
けたの数字の順番を入れかえた数も考えると,AとBの組の選び方が3通り,そのそれぞれに対してけたの数字の順番の入れかえ方が3通りあるので,nとしてありうる数は3×3=9(個)あります。

<3> 123のように,nのけたの数字が全部ちがう場合
n=ABCとします。ただし,A,B,Cは全部ちがう1けたの整数で,どれも0ではありません(nのどの位にも0は入っていないからです)。このとき,《n》=ABC+ACB+BAC+BCA+CAB+CBAです。ABC+ACB+BAC+BCA+CAB+CBAの百の位だけを足すと,A×2+B×2+C×2つまり(A+B+C)×2です。同じように,ABC+ACB+BAC+BCA+CAB+CBAの十の位だけを足すと(A+B+C)×2で,一の位だけを足しても(A+B+C)×2です。だから,ABC+ACB+BAC+BCA+CAB+CBAの答えは
{(A+B+C)×2}×100+{(A+B+C)×2}×10+(A+B+C)×2
={(A+B+C)×2}×(100+10+1)
= {(A+B+C)×2}×111
=(A+B+C)×222です。
だから,《n》=(A+B+C)×222です。このことと《n》=777から,(A+B+C)×222=777なので,A+B+C=7/2です。しかし,A,B,Cは全部整数なので,これはおかしいです。だから,nのけたの数字が全部ちがうとき,《n》=777にはなりません。
<1>,<2>,<3>から,nとしてありうる数は1+9=10(個)あります。

(3) nが2けたのとき,(2)と同じように考えると,《n》は198以下です。実際には《n》=1332なので,これはおかしいです。だから,nは2けたではありません。同じように,nは1けたでもありません。
nが5けたのとき,《n》は1個以上の5けたの数の和なので,10000以上です。実際には《n》=1332なので,これはおかしいです。だから,nは5けたではありません。同じように,nは6けた以上でもありません。
nが4けたのとき,nに使われている位の数を並べかえてできる数が2個以上あったとすると,《n》は2個以上の4けたの数の和なので,1000+1000=2000以上です。実際には《n》=1332なので,これはおかしいです。だから,nに使われている位の数を並べかえてできる数は1個しかありません。その数はnそのものなので,このとき《n》=nです。このことと《n》=1332から,n=1332です。しかし,1332に使われている位の数を並べかえてできる数は2個以上あるので,これはおかしいです。だから,nは4けたではありません。
よって,nは3けたです。(2)と同じように,nの各けたの数字が同じかちがうかによって場合分けして考えます。
<1> 111のように,nのけたの数字が全部同じ場合
nに使われている位の数を並べかえてできる数はnしかないので,《n》=nです。だから《n》=1332なので,n=1332です。しかし,このnは3けたではないのでおかしいです。だから,nのけたの数字が全部ちがうとき,《n》=1332にはなりません。

<2> 121や221のように,nのけたの数字のうち1つだけがちがう場合
(2)の<2>と同じように考えて,nのけたのうち一の位だけがちがうとしてよいです。(けたの数字の順番を入れかえた数は最後に考えます。)
n=AABとします。ただし,A,Bは異なる1けたの整数で,両方とも0ではありません(nのどの位にも0は入っていないからです)。このとき,(2)の<2>と同じように考えて,《n》=(A×2+B)×111です。このことと《n》=1332から,(A×2+B)×111=1332なので,A×2+B=12です。このこととA,Bが異なる1けたの整数で,両方とも0ではないことから,AとBの組としてありうるのはA=2,B=8とA=3,B=6とA=5,B=2です。
けたの数字の順番を入れかえた数も考えると,AとBの組の選び方が3通り,そのそれぞれに対してけたの数字の順番の入れかえ方が3通りあるので,nとしてありうる数は3×3=9(個)あります。

<3> 123のように,nのけたの数字が全部ちがう場合
n=ABCとします。ただし,A,B,Cは全部ちがう1けたの整数で,どれも0ではありません(nのどの位にも0は入っていないからです)。このとき,(2)の<3>と同じように考えて,《n》=(A+B+C)×222です。このことと《n》=1332から,(A+B+C)×222=1332なので,A+B+C=6です。0ではない全部ちがう1けたの整数3つの和が6になるとき,その3つの1けたの整数は1と2と3です。だから,A,B,Cは1,2,3を入れかえたものなので,nとしてありうる数は(3!=)3×2×1=6(個)あります。

<1>,<2>,<3>から,nとしてありうる数は9+6=15(個)あります。