算数オリンピックトライアル大会
ファイナル進出への「この1題」!
<ジュニア広中杯>
問題9 うその発言
ある正の整数Nについて、A、B、C、D、E、F、Gの7人が次のように発言した。
- A:3で割ると余りは1
- B:5で割ると余りは2
- C:7で割ると余りは3
- D:9で割ると余りは4
- E:11で割ると余りは5
- F:13で割ると余りは6
- G:15で割ると余りは7
7人のうち、一人だけがうその発言をしているとき、次の問いに答えよ。
(i) うそをついている可能性がないのは誰か。全て答えよ。
(ii) Nとして考えられる数は、最小でいくつか。
(正答率:11.7%)
(ファイナリスト正答率:44.7%)
<解答>
(i) A,B,G (ii) 1732
<講評・ワンポイントアドバイス>
AがウソならDもGもウソになり、またBがウソならGもウソになるので、AとBは正しい。
AとBが正しいのでNは (15の倍数)+7。
だからGも正しい。
まあここまではウォーミングアップですが、全体正答率11.7%、ファイナリストでも50%を下回る(44.7%)わけですから(ii)は強敵ですね…。
過去に算数オリンピックなどでも類題が出ていますが、ひとつには「ざっくり探す」という戦法を適用するのもアリかも。(けっこう大変だけど…)
思い切ってC、Dも正しいとすると Nは (63の倍数)+31。
A、B、Gから (15の倍数)+7。
このときちょっと探してNは (315の倍数)+157。
157、472、787、1102、1417、1732、…
ここでEの発言にあてはまる最小値らしき1732が見つかる。
Fがウソだと勝手に決めつけて(!?)、答えは1732だ!と強引に突き進んで正解した人もいるでしょうね。
ただ詳細は模範解説にお任せしますが、すべての発言において、余り=x とすると 割る数=2x+1 となっているのは見逃せない。
商をQとすると N=(2x+1)Q+x 。
ここで 2N+1を考える(因数分解的な発想。ここが難しいけど最大のポイント)と
2N+1=2(2x+1)Q+2x+1=(2x+1)(2Q+1)。
だから 2N+1 は割る数(2x+1)の倍数だとわかり,最小公倍数からNの候補がバッチリ明確になるのです。
算数的な思考では大変な問題が、数学的な処理であっさり解決してしまう。
算数的に考えるのも面白いけど、やっぱり数学ってすごいなぁ。